教員インタビュー
教員生活をインタビュー
学校での生活やプライベートまで・・・
木下先生(以下、木)、インタビュー(以下、イ)

- 所属 : ゲノム機能解析学研究室
- 名前 : 木下 健司 先生
- インタビュアー : 朝山、善山
好きな食べ物、嫌いな食べ物を教えてください。
- 木 : 嫌いな食べ物は納豆です。
- イ : あのネバネバした感じとかニオイがダメなのですか?
- 木 : いや…あの見た目がどうしても苦手で…。
納豆巻きとか海苔に巻いてあったら食べられるのですけどね(笑)。
納豆以外であれば食べ物は何でも好きです。
あと、嫌いではないですがお酒はあまり飲まないようにしています。
アルコール体質検査でDタイプ(少量の飲酒で顔が赤くなる反応が起き、お酒に弱いタイプ)だと分かってからは、飲みすぎないように気を付けています。
- イ : なるほど!!体のことをちゃんと考えているのですね!
私たちも、先生の研究成果のおかげで、楽しくお酒が飲めています。このお話はまた後ほどお願いします!
先生はこれまでどのような道を歩んでこられたのですか?
- 木 : 何のために勉強しているか、大学も何のために行くのか分からなくなった時期がありました。
最初は家業を継ごうとしていたのですが、親に「これからの世の中、何があるか分からないし、大学に行っときなさい!」と言われて(笑)。大学に進学しました。
大学3年生の夏に、日本にいても学ぶものがないなと思ってアメリカに行ったんですけど、日本に帰ってきてからちょうどオイルショックの時期で就職も厳しく、もっといろいろなことを修得するため大学院進学を決意しました。
- イ : 大変な激動の昭和時代ですね。
- 木 : 大学院修了後、就職先では、医薬品研究所解析部門でNMRやMS(NMRは核磁気共鳴、MSは質量分析の意味で物質の構造決定や検出に使用される)などの新しい分析法を担当しました。あとはチーム研究で天然物の構造決定や抗生物質のスクリーニングをしたり…。
この間に論文を書いて、理学博士号を取りましたね。
- 木 : この頃、大学の教員になろうかなと思うようになり、会社を辞めて、かねてから「アメリカに行きたい!」という願いを実現すべく、家族を連れてブラウン大学の研究教授として行きました。
- イ : 先生が専門にされている遺伝子関係の研究はいつ頃から本格的にされたのですか?
- 木 : 2002年に帰国して、DNAチップ研究所の所長として迎えて頂いた頃です。その後、バイオの事業を始めるために、住友ベイクライトという会社に入社しました。その数年後、薬学部に6年制が導入される時期に「武庫川の子は良い子ばかりだよ〜」と勧められて(笑)、本学に来ました。
武庫女の好きなところはありますか?
- 木 : 今考えれば、長い人生があったからこそ武庫女の学生達に会えたと思うんです。
「一期一会」は大切ですね。他の大学でなくて武庫女でよかったと思っています。
- イ : 一期一会…素敵ですね!
先生の研究室ではどんなことをしていますか?
- 木 : 「予防医学」という言葉がありますが、その中で1次予防は生活習慣の改善、2次予防が早期発見・早期治療、3次予防がリハビリテーションとされています。
しかし、私の研究室では「自分の体質を知って、病気を予防する」という0次予防がテーマです。
自分の体質を知る為には遺伝子検査を行います。
- イ : どんな遺伝子検査をしているのですか?
- 木 : 自分が太りやすい体質かどうか? (肥満のタイプ分け)
長距離型か短距離型どちらに向いているか? (スポーツ体質テスト)
薬を飲んだ時に眠くなりやすいタイプか?
といった検査をしています。
- イ : とても興味深いです。遺伝子を検査して体質がわかるのがすごい!
- 木 : 私の研究室では他にも遺伝子解析を簡便に行えるような新しい解析法を考えたりもしています。それで思いついたのが先ほども少し話ましたが、アルコール体質検査です。従来の方法より数倍早くアルコールの分解能力を解析できる検査法を開発しました。方法は、唾液を用いてアルコールの分解能力を調べ、体質的にお酒に強いか弱いか、アルコール依存症や二日酔いなどになりやすい体質かどうか判断します。
また、アルコールの次はインフルエンザのタイプを迅速に評価する方法を解析しているところです。
- イ : すごいですね!! 迅速で正確なインフルエンザの検査は診断と治療に必要です。
ちなみに私たちは授業で木下先生の解析法によるアルコール体質検査を受けました!!私たちの結果ですが、私は木下先生と同じDタイプで、もう一人のインタビュアーはBタイプ(飲酒で赤くなりにくく、アルコールの分解が速いので二日酔いになりにくいタイプ)でした。あとAタイプは(飲酒で赤くならず、アルコール依存症に最もなりやすいので、常習的な深酒注意)、Cタイプは(飲めると勘違いしている人が多いが、お酒が抜けにくいタイプで、たくさん飲むと食道がんの危険性が高い為、お酒は控えめに)と、アルコールによる体質が分かるので、役に立ちます。
研究以外に、留学プログラムを担当されているとお聞きしたのですが。
- 木 : 海外の医療現場で活躍する薬剤師について学べる「薬学部アメリカMFWI留学プログラム」というアメリカ薬学研修プログラムを行っています。武庫川女子大学アメリカ分校MFWIに長期間滞在し、英語を習得しながら、チーム医療先進国アメリカの医療現場で薬剤師業務の見学と研修を行います。他にも、ワシントン州立大学薬学部を訪問し、その大学の教授から医療薬学講座を受けたりもします。薬学科の5年生を対象にしていて、日本だけでなくアメリカの薬学部について知りたい、勉強したいと思っている学生さんにはぜひ参加してもらいたいと思っています。時期はその年によって変わりますが、平成24年度は、平成25年1月〜3月の5週間で行く予定です。また、参加希望者は、事前にTOEICの受験や本学教員による英会話のトレーニングを行い、実りある研修になるようみんなで頑張っています。
- イ : なんかワクワクしてきました。将来、グローバルに活躍できる医療人を目指して、学生の間に海外研修を体験できるのは、とても貴重な経験です。武庫女ならではの取り組みですね。
そのプログラムの中で具体的にはどのような研修がありますか?
- 木 : 午前中は英語、午後は市内の病院・薬局訪問及びワシントン州立大学薬学部教員からアメリカの薬剤師の役割を学んでいます。例えば、薬局を訪問し、アメリカ式の調剤実習を行います。また、医療専門の講義を受け、病変部位の病態検査や肥満検査(BMI)に関する実習、血糖値の測定を行う実習や、ミュレーション・ロボット(SAM)を患者に見立て、治療を行っている最中に容体が悪化し、心停止をした状況を設定に、SAMを蘇生する実習もあります。研修の終わりには、アメリカと日本の薬剤師の役割の違い、アメリカの医療制度などについて学習成果をまとめて、プレゼンテーションも行います。もちろん発表は英語で、この頃になるとネイティブな発音かと思うほどにまで上達している学生もいます。
- イ : とても充実した内容で、私たちも行きたくなってきました。また、同じ目標に向けて、学生同士切磋琢磨するので、仲間意識が強まりそうですね。一生の宝となる経験ができるような気がします。
- 木 : 実は…、さらにアドバンスな留学プログラムを計画しているので楽しみにしていて下さいね!
- 木 : それと、卒業生にお知らせがあるんです。平成24年度は武庫川女子大学薬学部創立50周年であることはみんな知っていますか?その記念事業の一環として、アメリカ分校を拠点にスポケーン市内の大学・病院・薬局など医療施設の視察研修を行う卒後教育プログラムの実施を企画しています。詳しくは薬学部のホームページのサイトを見て下さい。
では、武庫女生へのメッセージをお願いします!
- 木 : 薬学生のみなさん大好きです(笑)。
これからも時間を上手に使って勉強や趣味など頑張ってください!
受験生へのメッセージをお願いします!
- 木 : 受験は大変だと思いますが、自分の力を信じて頑張ってください!
そして薬学部に合格したらぜひ私に会いに来てくださいね(*^_^*)
- イ : ありがとうございました!木下健司 教授でした。
(2012年3月22日インタビュー)
