教員インタビュー
教員生活をインタビュー
学校での生活やプライベートまで・・・
三木先生(以下、三)、インタビュー(以下、イ)

- 所属 : 病態生理学研究室
- 名前 : 三木 知博 先生
- インタビュアー : 森、神足、朝山、内藤
誕生日はいつですか? 好きな季節はいつですか?
- 三 : 7月生まれのかに座です。
- イ : 夏ですね!好きな季節も夏ですか?
- 三 : 好きな季節は、春ですね。竹内まりやさんの曲で「人生の扉」というタイトルの曲があるんですが、あの歌の歌詞がすごく感動しますね!!その歌詞の中に「あと何回この桜を見ることができるんだろ」ってことを言ってて・・・。人は必ずいつか死んでいくけれど、あと何十回か桜の咲き誇るのを見られるあなた方に比べて、我々の年代になってくるとあと10回?20回?見られるだろうかとなってきて、そんな時でも、桜だけでなくいろんなものが芽吹いてくる春は頑張ろうという気持ちになれる。春って季節はとっても好きですね。
- イ : なるほど、深いです。聴いてみます!
好きな食べ物はなんですか? 嫌いな食べ物はなんですか?
- 三 : 私は大阪の人間なんで「粉もん」が好きですね。
- イ : お好み焼きですか?
- 三 : もちろん。それに加えてたこ焼き、焼きそば、麺類(うどん)も。なんばウォークの「ミルキーウェイ」っていうお好み焼き屋さん、お薦めですね。あと、うどん屋さんでは、心斎橋のちょっと北に行ったところにある「松葉屋」というお店のきつねうどんがめちゃくちゃおいしいと思いますよ。ここのあぶらあげは絶品です。嫌いなのは納豆やね。あの匂いが苦手でね。
- イ : お腹が空いてきました(笑)。関西の人は納豆苦手な人多いですよね。
- 三 : あとねぇ、歳をとってくると、和食がいいですね。和食といえばちょっと高級なお店も知ってるんですよ。あの有名なミシュランのお店。ミシュランといえば、あの評価絶対間違っている。私が、たま〜に行くお店で「梅市」ってお店が心斎橋にあるんですが、このお店「たま〜に」行くのはお値段がそれなりで、そんなにしょっちゅう行けないからなんですが、それでも安いと思うくらい、おいしいお店なんですよ。「本物」ってこういうことかなと思うくらいなんですが、そのお店が、実は☆って。
ミシュランに出ているお店で☆☆や☆☆☆のお店もいくつか行ったことがありますが、絶対この「梅市」って、☆☆☆の上の☆☆☆☆☆だと思うんですが。素材が最高で、腕前が最高で、雰囲気良くっておいしものって、頑張る活力くれますよね。ここのお店で食事をしたら、やっぱり「本物」って大事だと感じます。
マイブームと宝物を教えてください!
- 三 : 最近はデジカメに凝ってます。昔と違って今はSDカードで記録しますが、あれっていくらでも撮って不要なものは消せますよね。撮りまくっては捨てていけるからいいですね。腕前は大したことないけれど(笑)。どこに出かけるときも鞄に入れて持って行って写真を沢山撮ってますね。
- イ : そうなんですね!宝物も写真関連ですか?
- 三 : 宝物は昔のアルバムかなぁ。あ!あと近岡善次郎さんって、スケッチ画を描く方なんですけれど、筑摩書房から出ている「西洋館の旅」って本があります。全9冊かな。この方は日本の西洋館、例えば古い教会とか校舎をスケッチしておられる方です。北海道から沖縄までず〜〜っと何十年も描き続けておられて、もう絶版になってると思いますが、30年か40年前にシリーズとして出版されました。それが今でも僕の宝物ですね。
- イ : その本一度見てみたいです!!
休日の過ごし方、お薦めのスポットを教えてください!
- 三 : 昔から仕事で朝が早かったからね。医者をしてる時も朝7時には病院に入ってましたね。自慢じゃないけれど「いい先生!」って。違うんですよ。「やぶ医者」だから、早く行って患者さんが調子悪くなっておられないか不安でね。だから、ずっと長い習性で朝は目覚ましかけなくても5時すぎには目が覚める。で朝早く起きて何も考えずにぼーっとしてるのが好きですね。
- イ : おうちでのんびりって感じですか?
- 三 : そうそう!そんなにのんびりでもないけれど。昔からお寺や教会がすごく好きで長崎や京都・奈良によく行きました。京都の大原って知らないかな?「大原」は京都市の北東部にあるんですよ。そこがすごく好きでね。四季折々に本当にきれいな所です。一方京都の北西の方に上がっていくと「神護寺」っていう紅葉のすごくきれいなところがあって、そこをさらに奥に行くと道路の両脇に「北山杉」がそびえているところがあります。そこの杉は枝打ちをしてあってそれは見事です。その杉を使うと一本何百万円もするような柱ができるんですよ。京都にはそういうところがあって、それで・・・川端康成って知ってる?川端康成さんの「古都」っていう小説があって、そこに京都の町のことが色々書いてあってね。その小説の中の情景描写がきれいで、その中に北山杉のことも出ています。
- イ : 川端康成は知ってます!北山杉ですか、機会があったら見てみます。
- 三 : あと、最近は忙しくってなかなか行けないけれど、旅行も好きですね。スイスのマッターホルンってあるでしょ?そこへ行ったときはものすごく天候が悪くって、ガイドさんに「これじゃあマッターホルン見えませんよ!」って言われてがっかり。それでも次の日の朝、真っ暗なうちから「一応行きましょう」って言われて出かけたんですけど、やっぱり最初何も見えなくて・・・(苦笑)でも雲がぱ〜っと切れてね、突然マッターホルンが見えて「こんなことってあるんか!」って思うぐらいで、まるで絵葉書みたいな景色に朝日が射してきてね、それはものすごくきれいでした。
- イ : スイス、憧れです!
- 三 : あと青森のほうかな?十和田湖の近くにある「奥入瀬(おいらせ)渓流」ってすごく有名ですが、本当に綺麗でしたね!
学生時代はどのようにすごしていましたか?
- 三 : 私は大学を2つ出る羽目になったんですけれど、最初の大学は法学部で、でも自分の希望とは違っていたから「うーん」って感じだったんだけれど。場所が京都だったので、たまに授業をさぼっては御所に寝そべったりしてて・・・(これは学生さんに知られたらまずいかな??)。それは今思い出してもあの頃はよかったなと思いますね。でも学生らしいと思える生活をしていたのは本当にこの4年間だけだったなと思います。最初の大学は文系で、なにか資格がほしいなと思って。
でも司法試験はあまりにも難しすぎて・・・・・。もとは理系だったから医学部に行こうかなと思って医学部を目指したんですよ。ただ法学部でずっと法律の勉強をしていたこともあって医学部の受験勉強はものすごく大変でした。しかも23や24歳にもなって若い受験生と予備校で机を並べるのもなんとなく嫌で、いわゆる自宅浪人でした。まぁ私が人生で本当にしっかり勉強したと思えるのはこの受験勉強のときと医師国家試験を受ける前のこの2回だと思いますね。
- イ : 法律から医学への転向は考えただけでも大変そうですね。
研究室のアピールをお願いします。
- 三 : 武庫川女子大の薬学部で一番大切なことは、あなた方を立派な薬剤師に育てていくことだと思っています。同時に、うちの研究室を志望してくれて配属された学生さんには研究の一端を見てもらえればいいなと思っています。私自身、何をするにしても楽しいことが一番だと思っているから、研究室のアピールは、「楽しく勉強し、研究したい」ということです。
またこの部屋の教授として、若い人たちが研究をしていくことに障害がないように、きちんとやっていけるようにコーディネイトするのが私の仕事だと思っています。私はあなた方にきちんと教え、薬剤師になることを最も大切なこととして、さらに研究室の中では、どうしたら研究がやりやすくなるのかということを考えていきたいと思っています。これは研究室のアピールになるのかな?
武庫女生のイメージを教えてください。武庫女生へのメッセージをお願いします。
- 三 : まず武庫女生っていうのは今も昔もそうだと思うんですが「なんでもっと自分を信じられないの?」っていうのが私の率直な感想ですね。やったらできるのに、すぐ「私はだめ」っていう学生が多いですね。もっと自分に自信を持つ、もちろんそのために勉強する!勉強せずに自信がないって言ってる学生がすごく多いと思います。だから武庫女の子に言いたいのは、まず「自分が何を目指してるのか?どういう目的でやっているのか?」をはっきりさせることが大事だと思います。
あと、薬剤師になろうと思っている人は、患者さんを治してあげているという考えは持たないことですね。ケガや病気は何もしなくても自然に治るときだっていくらでもあります。だから患者さんを治すお手伝いをさせてもらっているっていう気持ちが大事ですね。そのためには6年間しっかり勉強した知識、技術を駆使して「私を信じてついてきてください!」と言えるくらいの自信をつけなくてはいけないと思います。
- イ : わかりました。よく覚えておきます。
- 三 : 自分を裏切らない、人を裏切らない。自分を裏切らないということは、自分を信じてやるということ。人を裏切らないというのは、自分の目の前にいる患者さんを裏切らない。裏切らないということは、ちゃんと自分が勉強して、知識をつけて、患者さんの苦しみや痛みをとるような、そういうことに関して、患者さんを裏切らないということです。このことが私は非常に大事だと思います。うまくいかないこともありますが、自分はこれだけのことをやりました、自分の持っている知識や技術を精いっぱい使ってやりました、と言えるかどうかがすごく大事だと思います。
医者が一番勉強してるのは、診断学。診断の次にするのが治療になります。このとき患者さんにとって最善の治療がされるように、間違った治療をしないようにするのは薬剤師の仕事でもあります。医者にアドバイスできるように、ときには医者を叱れるような薬剤師になってほしいと思います。だから、薬剤師になることが大事なのではなくて、どんな薬剤師になるか。薬剤師になってからがスタートなんです。新しい知識や新しい技術が日々増えていきます。だから、常にアンテナを張っていないといけないから、医療に携わる仕事はしんどさがあるということはよく知っておいてほしいですね。
受験生へのメッセージをお願いします。
- 三 : 今はマスコミなどのいろんな情報に流されすぎていると思いますね。例えば、薬学部の定員が増えて就職先がないって騒いでいますけれど、薬剤師という仕事って絶対に必要ですよね。しかし、「資格」を持っているだけの薬剤師なら要りません。逆に薬のプロとして、「私はこれだけの知識があります。」って自信を持って言えたら、そういう薬剤師さんには絶対、来てもらいたい!ってなりますよね?
資格というのは、薬剤師だから偉いんじゃなくて、薬剤師という仕事をこなすから偉いんですよ。薬剤師という仕事を目指す以上、定員が増えたから就職が大丈夫だろうかと考えないわけにはいかないかもしれませんが、自分は何をしたいのか、自分は何を目標としているのかそのことをきちんと考えてほしいですね。あんまり世間に惑わされないで、自分の思った道をまっすぐ進んでほしいと思います。
それと、医療に携わるというのは、私はやりがいのある仕事だと思っています。人間というのは病気になっているときが一番弱いですよね?人間って痛みとかしんどさに弱いから、それをどうやって取り除くか、やわらげていくか、その人に生きていく活力をもう一度持ってもらえるようにするというのは、とてもやりがいのある仕事だと思っています。
ただし知っておいてほしいのは、世間が言うように薬剤師や医師や看護師は偉い仕事ではありません。えらい(しんどい)仕事であることは認めますが。医療に携わる人間は初めから、苦痛を背負っている患者さんよりも優位に立ってますよね。だから一緒に患者さんの立場になって痛みを取ってあげたい、なんとかしてあげたいという姿勢が大事だと思います。自分がしてもらってうれしいことをする。してもらいたくないことはしないということが基本だと思っています。
自分自身を信じて、自信を持って、薬学部に来てください。そして薬剤師になって、苦しんでおられる人を助けていこうという気持ちになってほしいと思います。苦しんでおられる人に、その苦しみを少しでも軽くしてあげたい、お手伝いをしたいというモチベーションがあったら、どんどん薬剤師になって私たちと一緒に頑張ってみませんか、というのが受験生へのメッセージです。
- イ : ありがとうございました。
(2011年3月5日インタビュー)
