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サリドマイドの復活!!

サリドマイドと言えば、薬害を連想される方がほとんどだと思います。その通りです。妊婦さんが、辛いつわりや不眠の改善のために服用した睡眠薬ですが、その強力な催奇形性(胎児の体形に異常を誘発する性質)により、わが国では309名の被害者が発生したというお薬です。このサリドマイドは、わが国において1958年1月に販売が開始され、1962年5月には製品の出荷が中止されましたが、すぐに製品回収を行わなかったために被害が拡大したと考えられています。正に世の中から消し去られたお薬であったわけです。

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ところが、その後にこのサリドマイドには、がん細胞がどんどん増えるのに欠かせない血管新生という現象を抑える働きのあることが分かってきました。すなわち、がん細胞は多くの栄養と酸素を血液から獲得するために、近隣の血管から新しい血管を支流として引き延ばす特性があり、サリドマイドはそれを阻止出来るのです。そうすると、がん細胞は栄養不足に陥り、ある程度の大きさ以上には育たなくなってしまいます。実は、この血管新生抑制作用により子宮の中の胎児にも成長阻害が生じてしまうのですが、このお薬の使い方さえ間違えなければ、有用な抗がん薬となり得るわけです。

わが国では、血液がんの一種である多発性骨髄腫の治療薬として2009年2月から藤本製薬によるサリドマイドの販売が開始されています。

2009.04.17中村一基

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