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内分泌異常を起こしにくい抗アルドステロン薬の登場!

原発性アルドステロン症のように副腎皮質ホルモンであるアルドステロンが過剰に分泌されますと高血圧を引き起こします。アルドステロンには尿細管からの Na イオンの再吸収を促進して、Na 貯留を導くとともに血圧を上昇させる働きがあるからです。原発性アルドステロン症患者さんは、全ての高血圧患者さんの 5-10% を占めており、治療にはアルドステロンが受容体に結合するのを妨害することで、アルドステロンの働きを抑制する抗アルドステロン薬が効果を発揮します。内服薬としてスピロノラクトン(商品名アルダクトン A)、注射薬としてスピロノラクトンの活性代謝産物であるカンレノ酸カリウム(商品名ソルダクトン)が使われてきました。

しかしながら、スピロノラクトンやカンレノ酸カリウムは性ホルモンと同じく構造にステロイド骨格を有することから、副作用として抗男性ホルモン作用を示すことが欠点とされております。スピロノラクトンを服用した男性患者さんの約 10% に、抗男性ホルモン作用に基づく女性化乳房や乳房痛が出現したという報告もあります。

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そこで開発された新薬がエプレレノン(商品名セララ)であり、2007 年 7 月に薬価収載されました。エプレレノンは、スピロノラクトンやカンレノ酸カリウムと同じ抗アルドステロン薬ですが、アルドステロン受容体のみに結合しやすいという性質を持ち、スピロノラクトンやカンレノ酸カリウムよりも男性ホルモン受容体に結合しにくいために、抗男性ホルモン作用に基づく女性化乳房や乳房痛などの副作用の出現しにくいことが証明されています。

なお、エプレレノンは、現在のところ高血圧症の治療薬として使用されていますが、臓器保護作用を有することが知られており、将来的には心不全の治療薬としても大いに期待されます。

2008.11.21中村一基

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