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研究室と教員

生命物理化学研究室

 当研究室は2021年にスタートしました、主に生体膜を対象とした研究を行う研究室です。生体膜の物性を捉える手法を開発し、疾病との関連の解明や・診断への応用を目指します。生細胞膜の脂質は不均一に分布しています。例えば、膜内のコレステロール濃度は細胞のオルガネラによって大きく異なります(中央の図)。また、膜の裏と表でも組成は異なることが知られています。さらに、膜の平面方向においても脂質分布は均一ではなく、特定の脂質とタンパク質が集積した膜ドメインが存在すると言われています(右の図)。このような膜脂質の不均一性が、どのように生体機能と関わっているのか不明点は多く残っており、実験的・計算的アプローチで解明を目指します。以下のテーマで研究を行なっています。

1)蛍光イメージングによる細胞膜流動性評価法の開発

 細胞膜の流動性(あるいは、「かたさ」)は、細胞活動を正常に保つ重要なパラメータであり、膜流動性の異常は疾病に繋がると考えられます。本研究では、診断への応用を念頭に、口腔細胞など侵襲性の少ない手法で採取できる細胞の膜流動性を蛍光イメージングで迅速・簡便に評価できる手法を開発し、病態との相関を調査します。

2)膜タンパク質の膜ドメイン集積メカニズムの解明

 脂質ドメインにタンパク質が親和性を持つ時に、どのようなメカニズムでそのドメイン親和性が生じるのか、あるいはタンパク質側にどのような影響があるのか不明点が多く残っています。本研究では、膜タンパク質の、特に膜と相互作用する領域に注目して、脂質―タンパク質ドメインがどのような分子複合体として安定化しうるのか研究し、膜ドメインによるタンパク質活性調節機構の解明を目指します。コンピューター上で、タンパク質のアミノ酸配列情報から、膜ドメイン分配性を予測できるような計算手法の開発も行います。